貧乏お嬢様と執事君!
なんやかんやで遊園地。
ぐるぐるとのろく回っている観覧車がゲート外からもうかがえた。
まだ何組かのカップルが彼女たちの脇を通り過ぎて行った。
椿野は白い息を吐き出し、後ろで女一人を挟んでいる男二人に言い聞かせた。
「いい?変な行動しないでよ?したら放って帰るから!」
「厳しいね。僕を向いて言うのではなく、この執事に言い聞かせたまえ」
「僕は執事ですので。きちんとお嬢様の顔に泥を塗ることないように行動いたします。でも僕はあなたに迷惑がかかってもしったことはないですけどね」
井筒だけに「僕」を連発するカイトの笑顔はドライアイス並みに凍傷を起こしそうだ。
井筒も負けてはなく、
「そうかい?だったら君がそこらへんでだらしなく雪に足を取られたら大いに笑ってあげよう」
「貴方が幽霊屋敷で腰を抜かしたら、そのまま放ってさしあげましょうか?」