貧乏お嬢様と執事君!
「お帰りなさい!」
突然現れた鷹司にカイトは眼を見開いた。
「あっああ………お嬢様、お帰りですか」
もごもごと口に綿を含んだような言い方に鷹司は怪訝な顔をする。
「どうしたの?買い物?」
「ええまあ………そんなものです」
鷹司の横をすり抜け、カイトは家の奥へと足早に入って行った。
カイトはきっちり喋るときはアイコンタクトをするのに、今日に限ってかしなかった。
後ろめたいことでもあるみたいだ。
「はっはーんまさか………彼女でもできたのかな?」
そうだとしたら隠すことはないと思うが。
あの顔にあの性格だ。モテモテでもおかしいことはない。
逆ナンされたという経歴もあるカイトにやっと彼女ができたのか、と主君にとっては安心するばかりである。
だが、言いようのない感覚に襲われる。
さびしい、というか。