貧乏お嬢様と執事君!


「まっ決まったわけじゃないんだけど」


鷹司は軽いステップを踏みながら居間へ顔をのぞきこませた。


居間中にはカレーのスパイスの刺激臭が充満していた。カイトが作るカレーは鷹司の好物でもあった。


よい味をこしらえるためにはそれなりの費用と時間がいるのだそうだ。だから記念品かお祝いの日にしか作らないはずなのだが。


「………彼女ができた記念日?」


だとしたら夕食のときにでも発表してくれるのだろう。


的外れな推理に確信を抱き、鷹司は自室へ引っ込んだ。


言い知れぬ不安と何かも持ちながら。


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