貧乏お嬢様と執事君!


すとんっとまな板の上にカツオが空しく重力にひっぱられた瞬間、


ぱかっと見事な三枚おろしとして現れ出た。


こんなバカげた芸当ができるのは執事だからこそである。


そのあとは普通にいそいそと調理させていただいた。


次はお子様大好きウインナーの盛り付けである。


幼子が好むものを好むお嬢様のために、今日も執事は小さい赤ウインナーに丁寧に切れ込みを入れている。


半分ぐらいに切り、切り目のところを短く縦に包丁を入れる。


その顔は受験勉強をしている高校生そのもの。


「………ああだめだ!」


失敗したのは己の口へと吸い寄せられていったが。


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