貧乏お嬢様と執事君!


『あッお帰りカイトー』


カイト、と呼ばれた黒いスーツがよく似合う青年は鷹司に向かって両腕に抱えているかわいらしい黄色い花を見せつけた。


『見てくださいお嬢様!河原でこれだけの量のタンポポが!今宵は、たくさんのてんぷらができます!』


『でかした!さすがマイ 執事!』


褒められたカイトは、嬉しそうに頬をかく。


その拍子に、ぽろりと一本にタンポポが落ちた。


『む?あなた方は………』


おとした食料に気づくこともなく、ちゃぶ台を囲んで顔を硬直させているお嬢様方の顔を眺めまわす。


全員、目が合った瞬間に心臓が高鳴った。


青っぽい瞳は幼子のようにきらきら輝いており、真っ黒な無造作ヘアには寝ぐせの一つもない。


文句のつけようがあるとすれば両腕に抱えている雑草だろうか。


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