屋上教師
「あ?」
「なんでもない」
右手をフェンスの穴に入れて掴む。
バランス良くした私に、ほっとした顔を見せる安葉の期待を裏切ることになるのかもしれないが、もう少し話したい。
最後ぐらいは。
「私、最初あんたに会った時なにこいつって思った」
「そりゃ俺のセリフだ」
「だらけた格好で、とても教師とは思えなかったね」
「………お前もだろうがよ」
「え?」
「はじめ見たときからガキくせぇ輩じゃねぇと思ってたよ。雰囲気が学生とは思えなかったしな。妙に冷たい大人って感じだった」
生きることに意味が見いだせてねぇなって。
「確かに大人になるなんざつまんねーよ。しんでぇことだってあるし………だから俺もこんな風にだらけちまったがよ」
生きてて、後悔なんてしたことがねぇんだぜ。