トルコの蕾
正樹の体が動くのに合わせて、絵美はゆっくり呼吸する。
彼の吐き出した吐息をすこしも漏らさないように、もういっそ、このまま一緒になってしまえばいい、そう思った。
「正樹…痛いよ」
そう言って、絵美は正樹の首筋にぎゅっと抱きついた。
白くて柔らかな腕が、正樹の首に回されると、正樹は「大丈夫…?やめようか…?」と吐息を漏らしながら心配そうに絵美を見る。
「嫌だ。やめないで」
絵美は泣いていた。
セックスが、こんなにもあったかいものだなんて思わなかったから。
初めての痛みが、こんなにも優しいものだなんて知らなかったから。
正樹に求められることが、こんなにも幸せなことだと知ったから。
気が付けば、電気を消すことも、新しく買った下着のことも、サメ肌も、気にしていた脚の形さえ、すべて忘れて彼に全てを委ねていた。