トルコの蕾
言い終える前に塞がれた唇は、あたたかくて柔らかく、ちょっぴりアルコールの味がして、なぜだか少し懐かしい香りがした。
太一の舌先が真希の上顎をくすぐると、真希はたまらなくなってふふっと笑う。
太一の両手が真希の脇の下に伸び、くすぐりながらひとつずつシャツのボタンを外していく。
真希は負けじと太一の太ももをくすぐりながら、太一のデニムのベルトに手をかけた。
「やべえ、俺、真希に犯される」
キスの合間に太一が笑いながら言うと、真希も笑いながら「そうよ?」と答えた。
「だって、タッちゃんはもう、あたしのものなんだから」
真希が太一に覆い被さるようにして言うと、太一は「違うだろ?」と言ってまた笑う。
「真希は俺のもんだ。俺をナメんなよ?真希ちゃん」
太一はそう言って、真希の乳房にかぶりついた。
まるで、お互いの存在を確認し合うように強く、生まれて初めてのセックスのようにがむしゃらに、動物のようにただお互いを求め合った。
息は途切れ、汗にまみれ、唾液でびしょ濡れになりながら、お互いに溶けてしまうような温度に達すまで。
愛の言葉はいらなかった。
ただひたすらに、痛いほどにお互いの愛を感じていたから、「愛してる」なんておかしくて口に出すことが出来なかったのだ。