トルコの蕾
いつまでも、降り積もる雪と、行き交う人の白い息。
手を繋いで、売れ残りのクリスマスケーキとビール、少しのおつまみを買い、照れながら寄り添うふたりは、あたたかな光の灯る小さなマンションの一室へと吸い込まれて行く。
散らかった部屋の小さなテーブルに、ビールと売れ残りのケーキを広げて向かい合って微笑み合う、太一と真希。
「ケーキ切ろうぜ!」
「その前に乾杯でしょ?」
「何に乾杯すんの?もうクリスマス終わったけど」
「そうね、…あたしたちの未来に?とか」
「俺たちの未来に」
「乾杯!」
「乾杯!」
缶ビールをコツンとぶつけて勢いよく飲み干すと、太一が真希の肩に手を回す。
「ち…ちょっと、タッちゃん!」
「何だよ、いいだろ?もう俺たち恋人同士なんだから」
「ち…ちょっとバカじゃないの!この野蛮人!変態!」
「は?今まで俺がどんだけ我慢してたと思ってんの…?変態とか言われても、止める気ないよ、俺」
「…タッちゃ……」