+チック、
私はぼやける視界で彼の居る場所を眺めた。

あれだけ話をしていたのに私達はお互いへの気持ちは何一つ話をしていない。

彼は私の事をどう思っていたんだろうか・・・?

確かめたいと思った。
そして、私も彼に伝えたいと思った。

私は知っていたのだと、彼が誰よりも寂しがり屋で、一人になりたくなかっただけだと。
だから私はそんな彼を愛していた。貴方が何人の人の命を奪っていようと関係ない。
でも、できればもう、誰も殺して欲しくない。


だから私を”最後”にして欲しい・・・と。

そして私はいつまでも、誰よりも貴方の隣に居たいと。

私は車に押し込められながらも、トンネルの向こうを見つめ続けた。

薄暗いトンネルの中には同じ位置に無数のブレーキ痕が残っていた。
そして、彼の居た場所だけの壁が酷くコンクリートが剥き出しになってる。

私は彼から貰ったミルクティーの入った、錆びついたお供え物の缶ジュースを強く握りしめた。


男は車を発進させながら言った。
『お前は悪霊に憑かれていたんだ。もうすぐ殺されるところだったんだ、これからは俺が守ってやる』と。

私は余計なお世話だと思った。だって私はそれでも構わなかったのだから。
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