みだりな逢瀬-お仕事の刹那-
ただそれを認めてしまえば、ひどく惨めな気持ちに捉われるのは私ひとり。
身勝手で粗暴なセックスの方がどれだけ救われるだろう、とつい考えてしまう。
「なに考えてた?」
それは一瞬の逃避に過ぎなくて、いま私にキスをする男に現実へと呼び戻される。
「…え?何も考えることはないわ。こんな時にね」
薄墨色の眼差しに悟られないよう、ただ誤魔化すしかない愚かな自分がいた。
――感情なしのセックスであればきっと、こんなにも息苦しくないのに。
そう小さく自嘲しながら彼のベルトを外して、ブラック色のスラックスを脱がせた。
ボクサーパンツ越しに遠慮なく手を這わせる。撫で回していたソコの堅さと大きさが、彼の熱情を物語っていた。
「…でも。今日も気持ち良くしてくれるのかは、心配で考えてたけど」
口元を緩めると、質すように笑う。――コレだけ求めれば何も考えなくて済む、彼の武器を優しく手で包みながら。
「言われなくても」
このオトコの濡れた声音は、まるで中毒のように脳髄に響く。まさに金縛りにあったように、力が抜けていくのが分かる。
そうして落とされた首筋へのキスに、大きさを確かめていた手の力はもう完全に解けていた。
静かなスイート・ルームで鳴るのは、私から漏れ出る甘い声と妖しい水音のみ。
引きずり出された欲望を我慢する必要はない。それに従って、この瞬間だけは彼を求めるのが正しいから。
聞き分けのないオンナがふしだらになるのも、このオトコはご所望なんでしょ?だから互いが満足するまで、快感に委ねてしまうのがベストだ。
この先の惨めな自分も、少しの辛さも苦しみも。この胸にあるすべてを、この一時は忘れられるように……。