LOVELY☆ドロップ
――いやだ。
助けて、助けて!!
あたしから何もかもを奪わないで!!
声に出したいその言葉は、だけどすっかり打ちのめされているあたしの唇から放たれることはない。
ただ嗚咽(オエツ)と目からこぼれた大粒の涙がほっぺたを伝い、書類に水たまりを作っていく。
「どんなに抗(アラガ)ったってお前は孤独だ。誰もお前に手を差し伸べてはくれはしない。そんなお前が子供を育てられるわけがないだろうがっ!!」
「……っつ!!」
慶介の止めの言葉が……あたしの心臓を突き刺した。
体の芯から冷たくなる。
否定することもできなくて、ただ深い悲しみと苦しみが覆う――。
あたし自身さえも、とうとう慶介の言葉に負けてすべてを飲み込んでしまいそうになった――時だった。
「ひとりじゃない。ぼくがいる」
静寂を突き破るとても強い声が、響いた。
その声は、あたしが大好きな人のもの。
優しくて、あたたかくて……。
微笑むその表情を見ているだけで、誰よりも何よりも強くさせてくれるその人だ。
「じゅんさ……」
彼の名前を告げようと口を開くけれど、悲しみの涙が喉に詰まっているおかげで最後の最後まで声を出すことができなかった。
後ろからあたしの体にかぶさるようにあった慶介の気配が消え、代わりに冷たくなったあたしの肩にあたたかな彼の手が添えられた。