LOVELY☆ドロップ
「っつ!!」
もう限界だった。
何もかもに悲しくなってしまう。
拒絶する言葉さえも口にすることができなくなる。
だけど、あたしはひたすら首を振り続けた。
それは首がちぎれてしまうんじゃないかっていうくらい、強く……何度も……何度も――。
頑(カタク)なに首を振り続ける。
そして、慶介は自分の思い通りに動かないあたしに向かって怒りをあらわにした。
ホテルで見た時よりもすっかり皺(シワ)くちゃになった同意書を地面に置くと、あたしの腕を引っ張り、地面に跪(ヒザマズ)かせた。
「さあ、書くんだよ! これにサインしろ!! どうせお前はひとりじゃ何も出来ない女なんだ。子供なんか産まない方がいいんだよ」
あたしの頭上からは打ちのめす言葉が降り注ぎ、目の前には中絶するための同意書が広げられている。
そして、慶介の手があたしの右手ごとボールペンを掴んだ。
あたしの手が彼の手の動きに合わせて動いていく……。
いや。
いやだ。
サインなんてしたくない!!
そう思うのに、いくら必死に抵抗しても慶介の手は強引にあたしの手を掴み、動かしてくる。
「いや、いやああああっ!!」
泣き叫ぶあたしの声が誰もいない倉庫にこだまする。
「赤ん坊はしょせん、ひとりで育てるのには無理があるんだよ。さあ、とっとと署名して書き上げよう」
口の端をひん曲げて笑う慶介の顔がとても恐ろしい。