LOVELY☆ドロップ

祈にはバスタオルでしっかり体を拭いたあと用意しておいた別の普段着に着替えておくよう言いつけた。

これでひとつ、問題は片づいた。

それでも最大の難関とも思える問題が残っている。


――難関。

それは何のことかというと、ぼくの傍らで気を失っているともいえる状態の女性のことだ。

結局、ぼくは横断歩道でうずくまっていた彼女を連れて祈と共に自宅に戻った。

彼女は今、バスタオルで包まれた状態で廊下の壁にもたれさせている。

服は、幸い、生前沙良(サラ)が着ていたワンピースがある。

それを着せてあげればいいとして……。

問題はこの次――彼女の着替えをどうするか、だ。



本来は自分で着替えてもらうのが一番いいのだが、なにせ彼女はぐったりしている。

自分で着替えることはできないだろう。

――かといって、このままの姿でいては熱は下がるどころか上がる一方だ。

ぼくが彼女の服を着替えさせるのは……。


いや、止めておいた方がいいだろう。


彼女を見た瞬間、唇を奪いたいとそう思ったんだ。

彼女が服を着ていない姿を目にすれば、きっとすぐにぼくの理性は崩壊する。


本当に今日の自分はいったいどうしてしまったんだろう。

この世の中、ぼくが最も大切にしたいと思える女性は祈のほかに沙良だけだと思っていたのに……。



それに、祈という大切な存在ができたことで、ぼくの頭も感情も、色恋沙汰とは一切無縁になったと思った。


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