LOVELY☆ドロップ
まるで彼女のためにあつらえた物だといわんばかりだ。
寝室では暗くてよく見れなかったが、こうして明るいところで見ると、沙良のワンピースはとても似合っていた。
そんな彼女の姿はまるで天使のようだ。
背中に純白の羽があるんじゃないかっていうくらい、とても優しげなふんわりとした雰囲気をしていた。
「あ、おねいちゃん、こっちこっち!!」
祈は握っていたフォークを手放し、台所の入口に佇(タタズ)んでいる彼女に手招きする。
「おねいちゃんは、イノのおとなりね」
自分の身長より高い椅子からストンと降りると彼女の座るべき椅子を引いた。
対するぼくは、といえば――……。
とても優しげな彼女に見惚(ミト)れていた。
「あ、あの…………」
祈に席を与えてもらい、椅子に座った彼女は申しわけなさそうにぼくを見た。
どうやら彼女は、ぼくに痴漢(チカン)呼ばわりして平手打ちしたことをまだ気にしているらしい。
眉がハの字になっている。
ぼくにとってはもう過ぎたことだし、謝ってもらえたから気にもしていないのだが、彼女の方はそういうわけにもいかないのだろう。
いつまでも罪悪感を持たれるのはしんどいもので、どうしていいものかと思う反面、申し訳なさそうにしている姿も人間味があってとても可愛い。
……などと思っていると、祈は「パパ!!」とぼくを呼んだ。
「たいへん!! スパゲットが!!」
祈の次の言葉で我に返ったぼくは後ろにあるコンロに向き直る。