短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~
「さてと」
おもむろに新聞をカバンにしまう惠一に、和也が驚く。
「おい、僕らは8時発なんだ。夕飯くらい、一緒にできるよな?」
「いや。夜からまた、仕事なんだ」
和也の慰留は効果なく、惠一は帰り支度を始める。
「随分忙しいな。ロンドンでも接待とかあるのか?」
「本社とのやり取りがあるんだよ。時差があるから、夜から始まるんだ」
「ふうん。グローバルだと、色々大変だね」
「あぁ。向こうはこっちに合わせて早起きしようとか、そういう頭はないからな」
「オーバーワークなんじゃない?ちゃんと休めてるの?」
空になった紙カップを重ねて、惠一は立ち上がる。
帰り支度を続けながら、惠一が口を開いた。
「そう言えば、雪音。昔お前が作ってくれた『特製栄養ドリンク』というのは、どうやって作るんだ」