短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~

歩きながら無意識のうちに、午後会った幼馴染と自分を比べていた。

太陽のような笑顔の、和也。
その隣で微笑む、雪音。
二人とも、自分の居場所を既に見つけているかのように迷いなく見えた。
日の光があふれる居場所を。

それに異論はない。
そもそも、自分がそう薦めたのだ。もっと世界を見て来いと。
雪音は素直な子だった。その言葉通り、本当に世界を見に出かけて行った。
そして、さらに美しい人になった。
自分の手から遠く離れたところで。

立ち込める霧の間から、月がほんの少しだけ見えている。
立ち止まって、少しそれを眺めた。

曇りがちなロンドンの空。
常に霧に霞むその月が、なんだか自分と重なって見えた。
澄み切った夜空に、浮かぶことなどあるのだろうか。




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