短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~
他の住人を起こさないように、玄関の戸を静かに開閉して中に入る。
惠一の住むフラットは、昔の大きな屋敷を改装して造られた集合住宅。
共有階段を1階上ったつきあたりが、惠一の部屋だ。
喉の奥が、燃えるように痛み出した。
唾を呑み込むのもつらい。熱も上がってきたのか、体の節々が悲鳴を上げる。
やっとのことで戸口までたどりついたとき、そのドアの前に何かがあるのに気づいた。