短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~
ゆるくウエーブのかかった、肩までの髪。
濃紺のコート。
見覚えのある落ち感の、ジーンズ。
折りたたんだ膝に伏せられていた頭が、惠一の気配に気づいてムク、と起き直った。
本来はシナプスの出番だ、しかし体内ではばい菌が暴れていてシナプスもダウンしているらしい。
頭の中は真っ白になり、惠一は何も言えなくなった。
代わりに雪音が、口を開いた。
「おかえり、惠一にぃ」