短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~
今、私は何もする気が起きず、ただソファに座って宙を眺めている。
今日は日曜日。
二人とも家にいるのに、恐ろしく静かだ。
彼は朝から、趣味で集めているスニーカーの整理をすると言って、二階から降りてこない。私と顔を合わせるのが、気まずいのだろう。
彼は許してくれた。
でもひどく傷ついた彼は、あの日から上手に笑えていない。
目を合わせるとお互いに、起きたことが胸のなかに蘇って疼く。
会話はぎこちなくなった。
重苦しい空気が家全体をすっぽりと覆い、私は息をすることすら苦痛に感じた。
暗い暗い、地底湖の底に沈んでいるような錯覚を覚える。
どうしたらいいのか、全くわからなかった。