911の恋迷路
果歩はよく分からないながら、電話を切る。
しばらくトイレに行ったり洗濯物を片付けたりしていたら、
携帯が鳴った。
「沼田稔です、すみません。……母が帰ってきたようでしたから」
果歩の脳裏に浮かんだのは、
離婚しても「沼田」の名札がかかった門柱。
「母には昨日のことは、内緒なんです。
それで、今コンビニまで出てきたんです」
夫を奪った女性の息子。しかも夫の子ども。
慎は憎しみと嫉妬、恨みの的に違いなかった。
(慎さんが望んだわけでもないのに)
そう思う果歩の耳に衝撃の話が飛び込んでくる。