911の恋迷路

 果歩はよく分からないながら、電話を切る。


 しばらくトイレに行ったり洗濯物を片付けたりしていたら、


 携帯が鳴った。


 「沼田稔です、すみません。……母が帰ってきたようでしたから」


 果歩の脳裏に浮かんだのは、
 離婚しても「沼田」の名札がかかった門柱。


 「母には昨日のことは、内緒なんです。

  それで、今コンビニまで出てきたんです」

 
 夫を奪った女性の息子。しかも夫の子ども。

 慎は憎しみと嫉妬、恨みの的に違いなかった。


 (慎さんが望んだわけでもないのに)

 

 そう思う果歩の耳に衝撃の話が飛び込んでくる。
< 169 / 232 >

この作品をシェア

pagetop