911の恋迷路
稔の携帯からコンビニの入口のチャイムの音が聞こえる。
母親に気をつかって外出先から電話をする稔。
その声は寂しそうだった。
「稔さんは、このまま慎さんとつき合わないつもりですか」
「兄もメールで慎のことを書いていましたから、
これから考えていこうと思いますが」
(辛いんだ……)
人に傷つけられて、また自らも傷つけてしまう。
哀しい連鎖を断ち切ることはできないのか。
果歩は、稔に提案してみる。
「あたしの考えですけど……お母さんはともかく、
稔さんは慎さんと外で会って話したほうがいいと思うんです」
「……果歩さんに分からないかもしれませんが、
長年のわだかまりはそう消えませんよ」
「慎さん、子どもの頃は自制がきかなくて、
当てつけのようなことを繰り返したのでしょうけど」
話していて果歩も辛くなってきてしまった。
万引きをしたり兄から預かった携帯をずっと返さずに持っていたり。
「慎さんは素直になれないタイプなんですよ」
果歩は慎をどうしても庇いたくなってしまう。