マスカレード【仮面de企画】
「その人を紹介しようっていうの?」


「そう。出自も年齢も性別さえも不明の謎の大富豪だ。一応、世間では男性という事になっているけど、僕が見るところ男装の麗人風なんだよね。興味ない?」

悟はいたずらっぽくウィンクした。


そうね

一夜の恋にはステキだわ

でも……


「相手にもされないわ」


「ああ、そんなつまんない事言うなよ。賭けをしようよ。今夜、君が彼を落とせない方に五万円かける。負けたら募金箱に入れるよ」


「ちょっと! 学生にはキツイ金額だわ」


「そのくらいの貯金は持っているだろう? チャリティだものいいじゃない」


呆れた

「まあいいわ。わたしは、落とせる方に同額。負けたら募金箱、ね」


「そうこなくっちゃ」

悟はわたしに腕を差し出した。

「行こう、クールビューティー。あの辺にいる気取った女どもを蹴散らしてやれよ」

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