スピリット・オヴ・サマー
「…。」
「もし、憲治さんが面と向かって『好きだ』って言ったら、千佳子はどうしたらいい?」
「嫌いなら嫌いって…、」
「言える訳ねぇべっ。」
 「少女」の語気の強さに憲治は黙った。大きい声ではなかったが、憲治は何も言えなくなった。「少女」は泣いている様にも見えた。
「…言える訳、ねぇべ…。千佳子も憲治さんのこと、よく知ってだはずだァ。小学校から、ずーっと同じクラスだものなァ。『嫌い』だって言ったら、憲治さんがどれだけ傷つくか、千佳子は分がってだ。きっと…。」
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