スピリット・オヴ・サマー
「したら、おらぁ、襲われねぇうちに着替えどごぉっと。」
 「少女」はそう言って立ち上がった。
「飢えだ狼の前で、これ以上挑発したらヤられでしまう。あんだも目の毒だべェ?」
 「少女」は背を向けながら、水着のおしりの所に指を引っかけ、くいっ、と引っ張ってみせた。そして憲治の方を見返って、悪戯っぽく、そして「恥ずかしそうに」、しかし寂しげに笑った。
 その仕草に、憲治は正直、どきりとした。
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