スピリット・オヴ・サマー
 それは、夢見ながら生きる、そう心に決めた者の輝きなのだろうか。それとも、重い過去を抱えながらも明日へと歩を進めてきた時間の為せる深みなのか。優しくもあり、力を秘めた穏やかさでもある。
 思えば、この表情は千佳子の見せたそれでもあり、強いて言えば「憧子」が時折見せるそれでもあった。憲治はまぶしげに眼を細めた。
「いるような気がする、って言うより、いるはずだなって。中学時代、私が先輩のこと、ずっと惟い続けた時も、この惟いだけでも校舎の中に残っていくんじゃないかな、だとすればそういうのが、たくさん、この校舎の中に溜まっていって…、きっと、何かの形や、チカラになるんじゃないかなぁって。」
< 360 / 422 >

この作品をシェア

pagetop