スピリット・オヴ・サマー

「…っ！」
　憲治は聖菜の言葉に打ちのめされた。高校時代の先輩と今でも続いている、という言葉に救われていた気がしていたが、それが音を立てて崩れていく。
「ごめんなさい。私嘘ついてました。」
　聖菜は指でそっと涙を拭いながら顔を上げた。
「高校の部活の先輩とは２年、先輩が文芸部にいる間だけでした。その間に、私と先輩は関係を持って…。でも、先輩が卒業する直前に、私と付き合っている間にも、他に彼女がいたことを知らされました。初めての人、だったのに…。」
　再び顔を伏せて、聖菜はまた、泣き始める。