森林浴―或る弟の手記―
私は早苗から修介に視線を合わせました。
私たちはこれまで、特に修介に姉の存在を教えることはしていませんでした。
生きているかも分からないし、父親も違います。
敢えて知らせる必要はないと思っていたのです。
こんなことになるなら、知らせておくべきでした。
そして、早苗という名も教えておけばよかった。
私は遅すぎる後悔をしました。
修介は美しい顔を歪ませ、佐保里姉さんと早苗の顔を交互に見ていました。
あまりに似た顔立ちに、何故気付かなかったのだろうとでも思っていたのでしょう。
私は正世に支えられて立ち上がりました。
正世も全てを理解したらしく、困惑の表情を浮かべていました。