森林浴―或る弟の手記―
私は慌てて身を隠しました。
駐車場に近くには植え込みがあり、身を隠すのには適していたのです。
私はその陰から、相手を見ました。
年を取ってもその顔立ちは少しも変わりません。
体型は元々大柄だったのが、更に大きくなっている、という感じでした。
太った、という感じではなく、大きくなってる、という感じでした。
腫れたように分厚い瞼はそのままで、潰れたような鼻もそのままでした。
そこにいたのは香保里姉さんだったのです。
その手には、ペンキの缶が握られていました。
真っ赤なペンキの缶です。