森林浴―或る弟の手記―
この世に疲れはて、全てを諦めたような顔。
それでいて、妙な色気を漂わせていました。
この中に佐保里姉さんがいるかもしれない。
私はどきどきしながら歩きました。
客引きをしている店の者に声を掛けられ、私は足を止めました。
私はその男に、「紫乃」という女について尋ねてみました。
すると、男は顔をにやつかせました。
気持ちの悪い笑いは、庭師の男を彷彿させました。
「お客様はお目が高い」
男が言うので、私はその女は自分の姉かもしれない、と言いました。
すると、男はあからさまに表情を変えて、舌打ちまでしました。
私が客ではないと分かったからでしょう。
男は私に顎でついてこい、とやりました。
生け簀かない男ではありますが、ついていくしかない。
私はそう思い、男についていきました。
佐保里姉さんに会えると思うと、鼓動は早くなります。