僕の彼氏は男の娘
朝5時。

学校に通う中学生が起きるにはいささか早すぎるといえる時間帯。


そんななか、莉玖は肌寒い空気に眉を寄せ、
文庫本を片手に悠々と歩いていた。


まだ朝と夜の境目で、明るくはあるものの
太陽は出てきていない時間帯。


朝露が登校路に咲くコスモスの花びらをつたってポツリと落ちる。
塀の上で野良猫が大きく伸びをする。



莉玖は、誰もいないその時間に学校まで歩くのが好きだった。
周りに人がいない…一人だということに、孤独感ではなく、
安心感を抱くのだ。


誰もが起床する時間に学校についている莉玖。
すでにことをあきらめた学校側から莉玖には合鍵が渡されている。

教室の片隅、窓際の席に腰掛け、
本を読んだり、
ぼーっとしたり、
問題集をといたり、
人間観察をしたりする。

静かで誰もいない空間。莉玖はそれが好きだった。
しかしそれはすぐに壊された。
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