アザレア
返しても返しても、終わるめどの立たない借金。
幼い頃は自慢だった両親も、歳を重ね、働き詰めの毎日にくたびれてしまっている。

助けを乞うような眼差しで私の返答を待つ両親に、私は誠の提示した条件を飲む他なかった。


それからはとんとん拍子で話が進み――…


いつの間にか用意されていた数枚の契約書に、こらえても滲(にじ)む目元を隠しながら、投げやりな気持ちで判を押してから一年が経つ。


その間には当然色々な事があり、

『十年ぶり、だな』

『……はい』

交換条件を承諾した途端、誠のマンションへと連れて行かれ、封じられるように唇を貪られ――服を剥ぎ取られた時に押し殺した屈辱感を私は忘れない。


『今日から俺のものだ』

支配欲、なのだろう。
無抵抗の私を組み敷いた誠が、満足げに浮かべた笑みを忘れやしない。
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