アザレア
罪には罰を。
分不相応な想いが届かないのは、当然の報い。

第一として社長には永久不変の愛を誓った相手がいる。


もう、全てを終わらせよう――私が身を引く事で。
またいつかどこかで会えたなら、その時は貴方を名前で呼びたい。


欲を言えばやり直したい、出逢った時から。

胸を張って隣にいれる存在でありたい。


だけど、欲深は私の悪い癖で、罪に罪を重ねた。

叶えたい想いは一つだけで良い。
跪(ひざまず)いて手を組み、どこまでも続く虚空を仰ぐ。


――途端、闇が開けた。

雲間から覗いたのは真ん丸の月で、私は涙ながらに祈りを捧げる。
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