【短編】キミはお姫様。【実話】
「いらっしゃいませ、お一人様でしょうか?」

煌びやかな店内
光るシャンデリア

「あの・・・この姫華って子・・・お願いします」

「かしこまりました」

こんな店入ったことない
こんな店で本当に城崎が・・・?


「ご指名ありがとぉございまぁ~す♪姫華でぇ~す♪♪」

「!?」

確かに城崎だった。
でも・・・

さらさらだった黒髪は明るいブラウンに染められ派手に巻かれていた。
幼かった顔には厚化粧
露出度の高いドレス
まるで別人だった

向こうは俺に気づいたらしく笑顔を強張らせた
動揺しているみたいだった

「城崎・・・」




「お客さん何頼んじゃいますかー?」

城崎は何事もなかったかのように俺の隣に座った

「あの・・・城崎・・・?」

「水割りでいいですかー?」

城崎は淡々と話し続ける

「じゃあとってきますねー」

くるりと後ろを向いて奥へ逃げようとする城崎の腕を掴んだ

「・・・なぁ、ダメだよ。こんなとこで働いちゃ、ご両親だって・・・」



「説教するくらいなら帰ってくんない?」

城崎は俺を睨みつけた

「いや説教とかそんなんじゃ」

「いいから帰ってよ」

「・・・」

「今更なんだよね・・・今更来られて・・・こんな姿見られて・・・あたし・・・」

城崎の目には涙が浮かんできた

「今更って・・・お前行き先も伝えなかったじゃねえか」

「だって・・・桜井君に自殺未遂させたのあたしだし・・・」

「それ青木の嘘なんだよ。お前のせいなんかじゃない」

「うそ・・・」

「嘘じゃない。それにあの時本当のこと言ってくれなかったのは青木に脅されてたからなんだろ?」

城崎は黙って頷く
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