失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
待ち合わせとして指定したわかりやすい場所にはすでに彼女がいた。
ジーパンにカットソーというラフな格好のその人は携帯を片手にそわそわと落ち着かない様子で周りを見ている。
長い黒髪で半分隠れた横顔は不安げだった。
「あの…時森さん…ですか」
「あっ」
声をかけるまで気付かなかった彼女は俺を見上げる。初めてまともに見た彼女の両目は驚きに見開かれていた。
第一印象は、猫。
切れ長の瞳は適度な鋭さとかわいさの両方を持ち合わせていて、大人びた見た目の中にもやわらかい印象があった。
高感度、というのか、親しみやすさが感じられた。
まー、あんなの見た後だからかもだけど。
「こ、こんばんは、時森です、初めまして…って、二度目ですけど…」
「こんばんは。ここじゃなんだし、とりあえずどこか入ろうか」