失恋レクイエム ~この思いにさよならを~

もしかしたら彼女の方に後々何か確認したいことが出てくるかもしれない、と思ってわざわざ連絡先を渡しただけで、別に下心があったわけじゃない。

むしろあんな酔っ払いとは出来る事なら関わりあいにはなりたくない。

「――はい」

『…あ、あの…、羽賀さん、ですか?』

「そうですけど」

『私、先週ご迷惑をおかけした…、時森と申します。お…覚えておいでですか…?』

「あぁ、はい、覚えてますよ。どうも、こんばんは」

挨拶をしただけなのに、電話の向こうの彼女は「ここんばんはっ」と慌てている。

まぁ、あんな醜態を晒した相手じゃ、恥ずかしがるのも無理はないか。

「どもってるけど大丈夫?」

『いっ!?え、えっと、はい、ダイジョブです』

慌てふためく彼女の反応が面白くて自然と笑いがこぼれた。

ちゃんとお礼が言いたいという彼女はどうも今会社の近くに居るらしく、俺たちは駅の近くで落ち合うことになった。

仕事は先週で一応ひと段落したし、今日くらいゆっくりしてもバチは当らないだろう。

気分転換も必要だしな。

駅までの道のりをいく足取りは悪くない。

久しぶりに飲むのも良いだろう。
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