失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
「どうでも良いよ、そんな話。もっと他に話題ないのぉ?」
先生の講義を週2で受けるだけでも精一杯なのに、それ以外で彼の話なんか聞きたくもない。
結衣はこういうミーハーな話題が大好きだから仕方ないんだけど…。
それでもわたしが興味がないと思ったのか、彼女はすぐに違う話題をもちだした。
それにホッとしながら、わたしは今日エリザで歌う曲を考えていた。
今は、とにかく彼の話題から離れることがわたしの最重要項目。
二人と別れた後、大学のレッスン室に残って練習。
今日はもう講義はないのでエリザでのバイトギリギリまで残って練習が出来る。
先週の酷い演奏を挽回しなくては。
“今日エリザで9時から歌います。良かったら聴きに来て下さい”
自分を奮い立たせるためと羽賀さんに聴いて欲しいのとでわたしは羽賀さんにメールした。
初めて知り合いに自分の歌を聴かせる。
彼がすでにわたしの歌を知っているからか、抵抗はなかった。
それになんとなく、羽賀さんと会ってお話したいと思った。
あれ以来、彼とはたまにメールのやりとりをしていて、電話も1回した。
音楽の趣味が似ていたり考え方や意見が一致したり、話せば話すほど意気投合していくわたしたちの距離はこの2週間ほどでぐんと近づいた。