失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
るんるん気分のまま、夕飯をコンビニのおにぎりで済ませ、エリザに向かうと、オーナーの酒井さんがわたしの姿を見るなり慌てた様子で駆けよってきた。
どうしたんだろう。様子がおかしい。
「マユちゃん!ちょっといいかな、話があるんだ」
ただならぬその雰囲気に嫌な予感。
カウンターをギャルソンの一人に任せてわたしと一緒に裏に行く。
「悪いんだけどさ、今日代わってもらえないかな」
「え――、代わるって」
「ちょっとね、飛び入りでやらせたい子がいるんだよ。申し訳ないんだけど、今日だけ!」
「そ、そんなぁ!わたし今日人呼んじゃいましたよぉ…」
「えっそうなの?!珍しい。…ホンットーにごめん!もしあれだったら来週出番増やすし!この埋め合わせはかならずするから」
これは相談じゃなくてもう決定事項なんだなーって、酒井さんの口ぶりからわかったので、わたしはしぶしぶ首を縦に振る。
「わかりました。じゃぁ、この前の飲み代ちゃらにしてください」
「…マユちゃん、それは無理でしょう」
「うっ…言ってみただけですー。ほら、酒井さんお店戻ってくださいよサボり禁止です!」
くすくすと笑ってわたしは酒井さんの背中を押して店に戻らせた。
ごめんね、とありがとうをくり返すオーナーがこれ以上気にしないように。