蜜色オフィス


その一言で、沖田さんの気持ちが分かった。
私の事を“早川”って呼んだ時点で、沖田さんの気持ちを聞く必要なんかなくなった。

沖田さんは、私よりも今一緒にいる女の人との関係の方が大事だって考えたんだから。

『本気で好きなんだ』

あの告白は、やっぱり嘘だったんだ。
最初から……。


「嘘なら、最初から好きだなんて言わないで欲しかった……」
「早川? なんの話?」


焦った沖田さんが、私に一歩近づく。
目を合わせると、“状況読めよ”って言ってるような瞳で見られた。


「今日で別れます。短い間だったけど、ありがとうございました」
「だから、さっきから何言って……ぅっ、痛ぇな! 何すんだよっ!」


ニコニコ笑いながら私に話していた沖田さんの胸ぐらを、宮坂がいきなり掴みあげた。
そして、沖田さんをすぐ後ろにあった壁に追い詰める。

周りにいた人達が、ザワザワし始めてた。


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