アイの在り方
ブツッと電話は愛想もなく切れた。結局、あたしが求めた言葉は母さんからもらえなかった…―
助けてって言えば良かったのかも知れない。だけど、お姉ちゃんと赤ちゃんの事を考えればトラブルに成りかねない今の彼氏との縁を確実に切って置かなきゃいけないって思った。
床にゴロンと寝転がって携帯を手放した。天井を見ながら零れて頬を伝う涙を拭った。
体のあちこちが痛い。こんな時いつも思ってしまう…―
生きてる意味あんのかなって。
そのまま、目を閉じて静かな部屋で寝転がっていると…―
ピーンポーン…チャイムが鳴った。
「いて…は…はぁい」
顔についている鼻血を拭き取って髪をある程度直すと玄関に向かった。
「どちら様ですか…?」
「忘れ物宅配便です」
「…………なにそれ?」
怪しく思い覗き穴からゆっくり外を見て慌てて玄関を開けた。
そこにいたのは、屋上のあの人だったから。
「こんちゃ」
「……どうも」
彼の右手にはあたしの物らしきバッグが。
「あ!そういえば……」
「忘れてったの思い出した?」
屋上の隅っこに置いたまま帰っちゃったんだ…―