アイの在り方
鏡を力なく置くと怖かった感情と何にも抵抗出来なかった自分が情けなくて涙が零れた。
「……ッ」
バイトまで後3時間…―
もう立ち上がる気力すらない。
膝を抱え座り込んだまま時間だけが過ぎていく。
カチカチと時間を刻む時計の針が耳にうるさく響く。
もしも…―この部屋で首を吊って死んでいたら彼は悲しむのかな?むしろスッキリするって開き直っちゃうのかな。
彼は仕事に行ってて逃げるしかない。頼れる人がいないとしても痛い思いなんかもうしたくない。
思いついたように目に入ったバッグに必要最低限の物を詰め込むと逃げるように家を出た。
…―「さぼっちゃったなぁ」
時計を見るとバイトの時間はとっくに過ぎていて。迷惑かけて申し訳ないなぁなんて考えながら来たのは死に場所と決めた昨日のビルの屋上。
「荷物持って来た意味なんかなかったな…」
遺す言葉なんか何にも思い付かない。ただ、ひとつだけ…―
「あたしの人生って何なんですかーっ!」
夕日に向かって叫んでみた。
これだけ。本当にこれだけだった。