アイの在り方

見ず知らずの人間にこんな顔になった経緯を話すのはどうかと手を振り払いフードを被り直した。

「まさか男にやられたの?」

だったら何よって言い返したかったけど俯いて沈黙を貫き通す。

「答えたくないなら言わなくていいけど女殴るなんて男として一番最低だから」

「………」

「ふ〜ん図星ってわけ、んであんたは最低な男の為に自分の人生をここで棒にふるんだ?くっだらねぇ」


何がこの人にわかるのよ…
アイツは、いつか変わってくれるって信じてたから。それは悪い事なんかじゃないよね…―


「見届けてあげよっか?あんたがくだらない男の為に自分を捨てる瞬間を」


「………いらないッ!独りにして!」


止めるつもりもない男に苛立ちを思いっきりぶつけると彼は立ち上がった。


「まぁ、色々あるけど頑張って…けど忘れないでね?必要とされてないと思ってる人間ほど必要とされてるって事もこの世にはあるんだよ」

「………え」

思いつきの言葉かも知れないけどあたしには、深く突き刺さる一瞬があった。必要…必要になんかされてないよ。
誰にも必要になんかされてない。
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