アイの在り方
その人が立ち去るのを待っていても動こうとしない。むしろベンチからあたしをジッと見ていた。
本気で見知らぬ女の最後を見送る気だったらどうしよ…―って死ぬつもりなんだしいいけど。
びゅ〜っと秋風があたし達の間を吹き抜けていく。気づかれないようにチラリとその人を見ると視線を逸らす事はしない。
「…あの〜」
「なに?あ?死ぬ?」
その人に足早に近づいて目の前に立った。驚きもせずあたしを見上げて不思議そうな顔をした。
「あたしの名前は川瀬亜衣で19歳です」
「あぁ…はぁ…」
2本目の煙草に火をつけようとはせずに突然の自己紹介に大した反応もなく気の抜けた返事をした。
「す…好きな色は赤で好きな歌手はリリィで好きな食べ物はパスタです」
「……はいはい、それで?遺言は?リリィさんに伝えればいいの?」
「…リリィに伝わるはずないじゃないですか…世界的に有名な歌手ですよ」
なんか拍子抜けしちゃう。
なんて言うか受け入れ体勢ばっちり過ぎて怪しいというか…
「遺言は…彼氏にお前みたいなクズは死ね一生不幸にしてやるとお伝え下さい」
その人はふぅ〜と煙草の煙を吐き出してクッと笑った。
「ま、正当な遺言だね?他には?」
他に遺す言葉を伝える人間があたしにはいるのかな?親?けど言い切れないよ…―親友?もう4年は会ってない。
久しぶりに交わす言葉が死ぬ間際だなんて迷惑かかるだけだよね。
「それだけです…彼氏の住所はあのバッグに入ってますから」
「渡すのはいいけどいきなり殴られたりしない?」
本気で見知らぬ女の最後を見送る気だったらどうしよ…―って死ぬつもりなんだしいいけど。
びゅ〜っと秋風があたし達の間を吹き抜けていく。気づかれないようにチラリとその人を見ると視線を逸らす事はしない。
「…あの〜」
「なに?あ?死ぬ?」
その人に足早に近づいて目の前に立った。驚きもせずあたしを見上げて不思議そうな顔をした。
「あたしの名前は川瀬亜衣で19歳です」
「あぁ…はぁ…」
2本目の煙草に火をつけようとはせずに突然の自己紹介に大した反応もなく気の抜けた返事をした。
「す…好きな色は赤で好きな歌手はリリィで好きな食べ物はパスタです」
「……はいはい、それで?遺言は?リリィさんに伝えればいいの?」
「…リリィに伝わるはずないじゃないですか…世界的に有名な歌手ですよ」
なんか拍子抜けしちゃう。
なんて言うか受け入れ体勢ばっちり過ぎて怪しいというか…
「遺言は…彼氏にお前みたいなクズは死ね一生不幸にしてやるとお伝え下さい」
その人はふぅ〜と煙草の煙を吐き出してクッと笑った。
「ま、正当な遺言だね?他には?」
他に遺す言葉を伝える人間があたしにはいるのかな?親?けど言い切れないよ…―親友?もう4年は会ってない。
久しぶりに交わす言葉が死ぬ間際だなんて迷惑かかるだけだよね。
「それだけです…彼氏の住所はあのバッグに入ってますから」
「渡すのはいいけどいきなり殴られたりしない?」