糸電話
電話
プルルルルル…プルルルル
「もしもし秋川です」
「あ、もしもし原田ですが、咲花さんいますか」

 ドキッ

「うちだけど…」
「あ、咲花??今大丈夫?」
「うん。。。」
「今な…」

 本当は、私は何が言いたいんだろう。
 私、秋川 咲花の彼氏というか元彼というかわからないのだが、わたしと今電話で話しているのは原田 裕樹。うちと同じ中学3年生だ。中2の冬、裕樹から告白されてから1・2度デートして、その後、この春休みに私が引っ越してしまった。その後は、月に数回、こうやって電話を通してお互いの様子を話すだけだ。といっても、今は春休み。私はまだ学校にも行ってないから話題がなく、話してるのは裕樹ばっかりで、私は楽しそうに聞いてるだけなんだけど。
 確かに、裕樹と話してると楽しい。みんなに人気がある裕樹は、うちに告白したって言うのを女子が聞いたとき、もう攻撃にあった。
「どうして咲花なの??」
「咲花のどこがいいの??」
と言われた。ひどい言われようだと思う。思うけど、反論できなかった。本当にうちには何にもない。裕樹は、それでもいいといってくれたけど。裕樹はみんなにいろいろ言われても、笑って聞いてるだけで、最後に一言「ごめんね」って言うだけだった。
 でもうちは、時々自分でもわからない何かを裕樹に言いたくなる。どうせ国語3の私にはどう頭をひねったってその言葉は出てこないと思う。なんだろう。ナンダロウ…

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