糸電話
「おいっ咲花??聞いてる」
「ぁ…うん。考え事してて…」
「え、どうした??悩みだったら俺に言えよ。」
「ぁ、ほら、今年は受験だし。それに新しい学校になじめるかどうか不安で…」
とりあえずごまかしといた。このもやもやした感情を、今裕樹に言うわけにはいけないと思った。
「ああ、そっか。明日からだな。こっちはみんな寂しがってるぜ、咲花がいなくなって。特に美奈とかは毎日嘆いてるよ。お前が悩むなんて珍しいな。まあお前なら、どこの学校に行っても大丈夫だよ。」
ありがとう、裕樹。裕樹の一言一言が、私を励ましてくれる。
でも知ってる??美奈は、裕樹のこと好きなんだよ。たぶん、うちがいなくなって、内心すごい喜んでると思う。
「そうなんだよね。明日から新しい学校だと思うとすっごい緊張する。何人かっこいい人がいるのかなとか。」
「結局お前はそれかよ」
それからは、他愛もない話をして終わった。電話を切ったとき53分26秒もはなしていたことに気づき、同時に、自分がすごく疲れてることがわかった。
 緊張してるから。そうに違いないと思って、その日は好きなドラマも見ずに早めに寝た。
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