糸電話
新しい日
いよいよ転校初日だ。
昔、5歳くらいまで、私はここ、桜ヶ丘に住んでいたが、親が転勤族だったため、何度も転校を強いられてきた。ここの桜は、包み込んでくれるように優しい。生まれた地に帰って来た実感がわいた。
桜ヶ丘中学校。校門の前に立ってその喜びと不安を感じていたとき、いきなり一人の少女に声をかけられた。
「咲花??」
振り返るとそのこは…確か…
「あけみ??」
幼馴染のあけみだった。幼稚園に入る前から毎日遊んでたのに、どうして忘れてたんだろう。それが不思議でたまらない。
「やっぱり咲花だ!なんでここにいるの??」
私は引っ越してきたと説明した。
「そうなんだ??どのクラスだろう??前職員室は行ったでしょう??いってみよう。どのクラスか教えてもらわなきゃ。」
職員室は、とても事務的で大人な感じがする部屋だった。中に入ると、学年主任の先生っぽい少し白髪の入った先生がいて、歓迎してくれた。
「あの…私はどこのクラスに入るんですか」
「この調子ですとC組…」
「え!!咲花。うちと一緒だ。」
「よかったぁ。心強い。」
それからあけみと先生に連れられて歩く教室までの道のりは、さっきとはうってかわって軽いものになっていた。
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