薄紅空
それは、村の人々にとってなんとも信じがたい光景だった。
豪勢な飾りが施された駕籠が、一軒の家の前に用意されその側に、見事な駿馬に跨った、皇太子がいる。
そして、その家から農婦に伴われて出てきたのは、薄紅の着物を纏った、美しい女性。
送られた金銀により、美しく装飾され、村娘の姿は何処にもなかった。
村で育ったとは思えない気品に満ちた少女は、涙を浮かべ母に挨拶すると、駕籠に収まった。
そして、この時のために用意された一行は、ゆっくりと進み出す。
少女が宮へ上るのに、あてがわれた金銀財宝と、
短い間過ごした、故郷を残して。
