Black Peace
その時だった。
「しばたぁぁああああっ!!!」
唐突に、絶叫にも聞こえるおぞましい怒声が鳴り響いた。
俺たちは思わずビクリと反応し、声のしたほうを見た。
俺たちの目に映ったのは、気絶している大勢の不良たちの中に、一人立ち上がっている人影。
さきほどソファに腰掛けていた不良グループのリーダーの、あの男だった。
男は額から流血していて、かなりフラついてはいるが、その獣のような目はギロリと俺を睨みつけていた。
どこにそんな力が残っていたのか、俺の爪が甘かったのか、とにかくこのままじゃ千秋たちが危ない。
「…のっ…やろぉ…!」
俺は必死に立ち上がろうと体を動かしたが、直
後に激痛が走る。
「ぐっ…!」
「リヒト!」
千秋は崩れ落ちた俺の体を必死に支えた。くそ、情けねぇ…!
意地でもあいつを止めてねぇと…、ダチを…こいつらを、巻き込んでたまるか!
俺が勝手に起こしたこと、俺の勝手な事情に、こいつらを巻き込みたく…
「殺してやる…殺してやるよぉ!」
男は額からポタポタ血を垂らしながら、いつから持ってたのか、ボコボコにへこんだ金属バットを振り上げて俺と千秋を目掛けて走ってきた。
奴の目的は俺だろうが、俺を抱えてくれている千秋が無事で済むとは到底思えない。