Black Peace
「くそ……っ!」
自分の無力さにおもんず歯を食いしばる。
またなのか…
また俺は仲間を…あんな目にあわせちまうのかよ…!
怒り狂った男が俺と千秋に向かって金属バットを力強く振り下ろそうとした…
「やぁっ!!」
誰かの甲高い、力強い声がすぐ近くから聞こえてきた。
と同時に、ズガンッという強い衝突音のようなものが鳴り響いた。
俺はその光景を目の当たりにして、唖然とした。
ヒラリとひるがえるスカート。
そこから伸びる白く細い足、その先にあるローファーの靴底が、バットを握りしめる男の顔面にテクニカルヒットしていた。
そのなびく赤く、長い髪……
飛鳥だった。
「ッブフゥ!」
顔面を蹴られた男は、鼻から大量の血を噴き出しながら宙を舞い、数メートル先で地面に落下した。
「………」
なんというか、言葉が出てこない。
飛鳥は振り上げた足を収め、たなびいた髪を頭を振ってきれいに直し、白目をむいてノックアウトしている男に向かって一言。
「私の友達に手出させないわよ」