私の子猫くん


「尻尾はズボンの中に隠せるけど、猫耳はどうしよ?」




着替えて、僕が杏のベッドで丸くなってると、杏はそんなことを呟いた。




「えー、僕これでいいよー?」




「ダメだって。」




……何でダメなんだろう?




僕は杏と一緒にいられればそれでいいのに……




人間って難しい生き物だなぁ……




「でも、どうせ人間にしてくれるなら、完璧な人間にしてくれればよかったのにね。」




「完璧な人間……?」




「だってさぁ、尻尾とか耳とか、あと裸だったのも。」




「……うん。」




……僕、杏に迷惑かけたかな?




「まぁでも、コウとこうやって話せるようになっただけで嬉しいからいいんだけど。」




……え?




「杏……?」




「あ……わ、私ったら何言ってんだろ。忘れて……」




「忘れないー!」




「……ですよね。」




うん。忘れてなんかあげない。


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